はじめに:摂食嚥下障害は、言語聴覚士の腕の見せ所!
「うまく飲み込めない…」「むせてしまう…」「食事が楽しくない…」
摂食嚥下障害は、患者さんのQOL(生活の質)を大きく低下させる問題です。
言語聴覚士の皆さん、こんにちは!
摂食嚥下障害は、言語聴覚士の専門性が最も活かせる分野の一つです。
なぜ言語聴覚士が摂食嚥下に関わるのか?
言語聴覚士は、
- 話す (構音、発声)
- 聞く (聴覚)
- 食べる (摂食嚥下)
…といった、コミュニケーションと、食べる機能の専門家です。
「え、食べることも言語聴覚士の仕事なの?」
そうなんです!
摂食嚥下は、「食べる」機能の中でも、特に複雑なメカニズムを持っています。口や舌、喉の筋肉、そしてそれらをコントロールする神経…これらは全て、言語聴覚士が専門とする領域なんです。
言語聴覚士は、解剖学、生理学、神経学などの専門知識を活かして、摂食嚥下障害の原因を特定し、適切な評価と訓練を行います。
摂食嚥下障害の現状と課題
高齢化が進む日本において、摂食嚥下障害の患者数は増加傾向にあります。
- 誤嚥性肺炎のリスクが高まる → 命に関わることも!
- 低栄養になる → 体力が低下し、他の病気を引き起こすことも…
- 脱水症状になる → 様々な体調不良の原因に
- 食べる楽しみを失う → 生きる意欲の低下に繋がることも…
…など、摂食嚥下障害は、様々な問題を引き起こします。
「患者さんの『食べる』を支えたい!」
そう強く願う言語聴覚士の役割は、ますます重要になっています。
この記事で、あなたのスキルアップを応援!
この記事では、摂食嚥下リハビリテーションに関わる言語聴覚士の皆さんに、
- 摂食嚥下の基礎知識 → 「なんとなく…」から卒業!
- 評価方法 → 自信を持って評価できるようになる!
- 訓練方法 → 具体的なアプローチが分かる!
- 症例別のリハビリテーション → 現場で活かせる知識が満載!
…など、詳しく解説していきます!
「摂食嚥下リハビリテーションのスキルアップをしたい!」
そう思っているあなた、ぜひ最後まで読んで、日々の臨床に役立ててくださいね。
摂食嚥下とは?5期モデルで基礎知識をおさらい
「摂食嚥下って、言葉は知ってるけど、詳しくは知らない…」
そんなあなたのために、まずは、摂食嚥下の基礎知識をおさらいしましょう。
摂食嚥下の5期モデル
摂食嚥下は、以下の5つの段階(5期モデル)に分けられます。
- 先行期(認知期)
- 準備期(咀嚼期)
- 口腔期(送り込み期)
- 咽頭期
- 食道期
この5期モデルは、摂食嚥下障害の評価や治療を考える上で、とても重要です。「どこに問題があるのか?」を見極める手がかりになるんです。
先行期
食べ物を認識し、口に運ぶまでの段階です。
- 視覚、嗅覚、触覚などの感覚情報 → 「おいしそう!」「いい匂い!」
- 食欲 → 「食べたい!」
- 意欲 → 「自分で食べよう!」
…などが関与します。
例えば、認知症で食べ物だと認識できない、食欲がない、といった場合は、この先行期に問題がある可能性があります。
準備期(咀嚼期)
食べ物を口の中で咀嚼し、飲み込みやすい形(食塊)にする段階です。
- 歯 → 食べ物を噛み砕く
- 舌 → 食べ物を混ぜる、食塊を形成する
- 頬 → 食べ物を口の中に保持する
- 顎 → 咀嚼運動を行う
…などの器官が協調して働きます。
「よく噛んで食べましょう」と言われるのは、この準備期が大切だからなんです。
口腔期(送り込み期)
咀嚼した食べ物(食塊)を、舌を使って咽頭に送り込む段階です。
- 舌の運動 → 食塊を咽頭に押し込む
- 口唇の閉鎖 → 食べ物が口からこぼれないようにする
- 軟口蓋の挙上 → 食べ物が鼻に逆流しないようにする
…などが重要になります。
舌の動きが悪かったり、口唇が閉じにくかったりすると、うまく送り込めません。
咽頭期
食べ物が咽頭を通過し、食道に送り込まれる段階です。ここが一番の難関!
- 嚥下反射 → 「ゴックン」と飲み込む反射
- 喉頭挙上 → 喉仏が上がる動き
- 喉頭蓋の反転 → 気管の入り口に蓋をする
- 声門閉鎖 → 声帯を閉じて、気管に食べ物が入らないようにする
- 輪状咽頭筋の弛緩 → 食道の入り口を開く
…など、複雑なメカニズムが、ほんの一瞬で協調して働きます。
この咽頭期に問題があると、誤嚥(食べ物が気管に入ってしまうこと)のリスクが高まります。
食道期
食べ物が食道を通過し、胃に送り込まれる段階です。
- 食道の蠕動運動 → ミミズのような動きで、食べ物を胃に運ぶ
…によって、食べ物が運ばれます。
食道の動きが悪くなると、食べ物がつかえたり、逆流したりすることがあります。
各期の役割と、関わる器官
期 | 役割 | 関わる器官 |
先行期 | 食べ物を認識し、口に運ぶ | 目、鼻、口、手、脳(視覚野、嗅覚野、運動野、感覚野など) |
準備期 | 食べ物を咀嚼し、飲み込みやすい形にする | 歯、舌、頬、顎、唾液腺、脳(運動野、感覚野など) |
口腔期 | 咀嚼した食べ物を、舌を使って咽頭に送り込む | 舌、口唇、軟口蓋、硬口蓋、頬、脳(運動野、感覚野、脳幹) |
咽頭期 | 食べ物が咽頭を通過し、食道に送り込まれる | 咽頭、喉頭、喉頭蓋、声帯、輪状咽頭筋、脳(脳幹:嚥下中枢) |
食道期 | 食べ物が食道を通過し、胃に送り込まれる | 食道、胃、脳(自律神経) |
補足:
- 先行期では、「おいしそう!」と感じることが大切。認知症やうつ病などで、この段階に問題が生じることもあります。
- 準備期では、義歯の状態も重要です。合わない義歯は、咀嚼の妨げになります。
- 口腔期では、舌の動きがポイント。舌の筋力低下や麻痺があると、うまく送り込めません。
- 咽頭期は、誤嚥を防ぐための重要な段階。喉頭挙上が不十分だと、誤嚥のリスクが高まります。
- 食道期に問題がある場合は、消化器内科との連携も必要になります。
嚥下に関わる神経
嚥下には、多くの脳神経が関与しています。これらの神経が、複雑な嚥下のメカニズムをコントロールしているんです。
- 三叉神経(Ⅴ): 咀嚼筋の運動、顔面の感覚 → 噛む力、口の周りの感覚に関わる
- 顔面神経(Ⅶ): 表情筋の運動、舌前2/3の味覚 → 口を閉じる、舌の前の部分の味覚に関わる
- 舌咽神経(Ⅸ): 舌後1/3の味覚・感覚、咽頭の運動・感覚、唾液分泌 → 舌の奥の味覚や感覚、飲み込みの最初の段階に関わる
- 迷走神経(Ⅹ): 咽頭・喉頭・食道の運動・感覚、内臓の運動・感覚 → 飲み込みの主要な神経!
- 舌下神経(Ⅻ): 舌の運動 → 舌を動かして、食べ物を送り込む
これらの神経に障害が起こると、摂食嚥下障害の原因となります。
摂食嚥下障害の原因
摂食嚥下障害は、様々な原因で起こります。
神経・筋疾患
脳卒中
脳梗塞や脳出血など、脳血管障害によって、嚥下に関わる神経や筋肉が麻痺することがあります。最も多い原因の一つです。
- 口や舌の麻痺 → 食べ物をうまく飲み込めない
- 嚥下反射の遅延 → むせやすい
- 感覚の低下 → 食べ物が口の中に残っていることに気づかない
パーキンソン病
進行性の神経変性疾患で、嚥下に関わる筋肉の動きが悪くなることがあります。
- 筋肉の固縮(こわばり) → 口や舌が動かしにくい
- 振戦(ふるえ) → 食べ物をこぼしやすい
- 嚥下反射の遅延 → むせやすい
筋萎縮性側索硬化症(ALS)
進行性の神経変性疾患で、嚥下に関わる筋肉が萎縮することがあります。
- 進行性の嚥下障害 → 徐々に飲み込めなくなる
- 呼吸機能の低下 → 誤嚥性肺炎のリスクが高い
その他
- 多発性硬化症 → 脳や脊髄の病気
- ギラン・バレー症候群 → 末梢神経の病気
- 重症筋無力症 → 神経と筋肉のつなぎ目の病気
…など、様々な神経・筋疾患が、摂食嚥下障害の原因となります。
器質的疾患
口腔がん
舌がん、頬粘膜がんなど、口腔がんによって、舌や頬の動きが悪くなることがあります。
- 手術による組織の欠損 → 口の形が変わってしまう
- 放射線治療の副作用 → 口の中が乾燥する、粘膜がただれる
咽頭がん
咽頭がんによって、咽頭の通過障害が起こることがあります。
- 手術による組織の欠損 → 飲み込む通り道が狭くなる
- 放射線治療の副作用 → 咽頭の粘膜がただれる
食道がん
食道がんによって、食道の通過障害が起こることがあります。
- 手術による組織の欠損 → 食べ物がつかえる
- 化学療法の副作用 → 吐き気、食欲不振
その他
- 口内炎 → 痛くて食べられない
- 舌炎 → 舌が痛くて動かせない
- 咽頭炎 → 喉が痛くて飲み込めない
- 食道炎 → 食べ物がしみる、つかえる
…など、様々な炎症性疾患が、摂食嚥下障害の原因となります。
加齢
加齢に伴い、
- 筋力低下 → 噛む力、飲み込む力が弱くなる
- 感覚低下 → 口の中の感覚が鈍くなる
- 唾液分泌量の減少 → 口の中が乾燥し、飲み込みにくくなる
…などが起こり、摂食嚥下機能が低下することがあります。
「年を取ると、誰でも飲み込みにくくなるの?」
そうなんです。でも、適切なケアやトレーニングで、機能を維持・改善することができます!
薬剤性
薬の副作用によって、
- 口渇 → 口の中が乾燥し、飲み込みにくくなる
- 筋力低下 → 噛む力、飲み込む力が弱くなる
- 意識レベルの低下 → 誤嚥のリスクが高まる
…などが起こり、摂食嚥下障害が起こることがあります。
「薬のせいかも…」と思ったら、医師や薬剤師に相談しましょう。
その他
- 認知症 → 食べ物だと認識できない、食べ方を忘れてしまう
- 精神疾患 → 食欲不振、嚥下恐怖
- 発達障害 → 口の使い方が未熟、感覚過敏
…など、様々な要因が、摂食嚥下障害の原因となります。
摂食嚥下障害の評価方法
摂食嚥下障害の評価は、
- 原因を特定する → どこに問題があるのか?
- 障害の程度を把握する → どのくらい飲み込みにくいのか?
- リハビリテーションの計画を立てる → どんな訓練が必要か?
- 効果を判定する → 訓練の効果は出ているか?
…上で、非常に重要です。
「評価って、難しそう…」
そう思うかもしれませんが、大丈夫!
一つずつ、丁寧に解説していきます。
問診
まずは、患者さんやご家族から、詳しく話を聞きます(問診)。これが、評価の第一歩!
- いつから症状があるか? → 急に始まったのか、徐々に悪化したのか
- どんな時に症状が出るか? → 食事中だけ?常に?
- どんな食べ物が飲み込みにくいか? → 固体?液体?
- むせやすいか? → 食事中によくむせる?
- 体重減少はあるか? → 最近、体重が減った?
- 既往歴、服薬歴 → 何か持病はあるか?薬は飲んでいるか?
…など、様々な情報を収集します。
「話を聞くだけで、何が分かるの?」
実は、問診から得られる情報は、とても多いんです!
例えば、
- 「最近、急に飲み込みにくくなった」→ 脳卒中かも?
- 「固いものが飲み込みにくい」→ 口腔期や咽頭期に問題があるかも?
- 「食事中によくむせる」→ 嚥下反射が遅れているかも?
…など、問診から、ある程度の原因や障害の部位を推測することができます。
スクリーニング検査
スクリーニング検査は、簡便に行える検査で、摂食嚥下障害の疑いがあるかどうかを判断します。
「スクリーニングって、ふるい分けってこと?」
そうですね。スクリーニング検査で「疑いあり」となった場合は、さらに詳しい検査を行います。
反復唾液嚥下テスト(RSST)
30秒間に何回唾液を飲み込めるかを測定します。
- 方法: 座った状態で、30秒間にできるだけ多く唾液を飲み込んでもらう
- 評価:
- 3回以上:正常
- 2回以下:嚥下障害の疑い
「唾液を飲み込むだけ?簡単!」
そうなんです。でも、このテストで、嚥下機能のスクリーニングができるんです。
改訂水飲みテスト(MWST)
3mlの冷水を飲み込んでもらい、嚥下の状態を観察します。
- 方法:
- 3mlの冷水を、注射器やスプーンで、患者さんの舌の上に垂らす
- 嚥下してもらう
- 嚥下の様子を観察する
- 評価:
- むせの有無
- 呼吸状態の変化(呼吸が苦しそうじゃないか?)
- 嚥下後の嗄声(声がかすれていないか?)
…などを評価します。
「冷たい水を使うのは、なぜ?」
冷たい水は、常温の水よりも嚥下反射を誘発しやすいんです。
フードテスト
実際に食べ物を食べてもらい、嚥下の状態を観察します。
- 方法:
- 様々な食形態(ゼリー、お粥、刻み食など)を用意する
- 患者さんに、一口ずつ食べてもらう
- 嚥下の様子を観察する
- 評価:
- むせの有無
- 咀嚼の状態(よく噛めているか?)
- 口腔内残留(食べ物が口の中に残っていないか?)
…などを評価します。
「実際に食べてもらうのが、一番分かりやすい!」
そうですね。でも、誤嚥のリスクもあるので、慎重に行う必要があります。
嚥下造影検査(VF)
X線透視下で、造影剤を混ぜた食べ物を飲み込んでもらい、嚥下の様子を観察する検査です。
- メリット:
- 嚥下のメカニズムを詳細に評価できる → どこに問題があるのか、はっきり分かる!
- 誤嚥の有無や程度を評価できる → 誤嚥しているかどうか、どのくらい誤嚥しているかが分かる!
- リハビリテーションの計画立案に役立つ → どんな訓練をすればいいか、具体的な方針が立てられる!
- デメリット:
- X線被曝がある
- 検査時間が長い
- 患者さんの協力が必要
「造影剤って、何?」
造影剤は、X線でよく見えるようにするための薬です。バリウムなどが使われます。
嚥下内視鏡検査(VE)
鼻から内視鏡を挿入し、嚥下の様子を観察する検査です。
- メリット:
- 咽頭や喉頭の状態を直接観察できる → 炎症や腫瘍などがないか、確認できる!
- 唾液や食物の貯留、残留を評価できる → 飲み込んだ後、どこに食べ物が残っているかが分かる!
- VFよりも簡便に行える → X線を使わないので、被曝の心配がない!
- デメリット:
- 鼻から内視鏡を入れるので、不快感がある
- 嚥下の瞬間は見えない
「鼻からカメラ…!?痛そう…」
細いカメラを使うので、それほど痛みはありませんが、違和感を感じる方もいます。
その他の評価方法
頸部聴診法
聴診器を使って、嚥下音を聴取し、嚥下の状態を評価します。
- メリット:
- 簡便に行える
- 非侵襲的(患者さんの体に負担が少ない)
- デメリット:
- 評価者の熟練が必要
- 客観性に欠ける
「聴診器で、何が分かるの?」
正常な嚥下音、異常な嚥下音(ゴボゴボ、ゼーゼーなど)を聞き分けることで、嚥下の状態をある程度推測できます。
質問紙
- EAT-10: 10項目の質問に答えることで、摂食嚥下障害の程度を評価する
- SWAL-QOL: 44項目の質問に答えることで、摂食嚥下障害がQOLに与える影響を評価する
…など、摂食嚥下機能に関する質問紙を用いて、患者さんの自覚症状を評価します。
「質問に答えるだけで、評価できるの?」
はい。患者さん自身の主観的な評価も、重要な情報源になります。
摂食嚥下リハビリテーションの訓練方法
摂食嚥下リハビリテーションの訓練方法は、
- 間接訓練: 食物を使わない訓練 → 嚥下の準備運動!
- 直接訓練: 食物を使う訓練 → 実践練習!
…の2つに分けられます。
間接訓練
基礎訓練
- 目的:
- 口腔内の清潔を保つ → 誤嚥性肺炎の予防!
- 口腔乾燥を防ぐ → 唾液の分泌を促進!
- 口腔感覚を刺激する → 嚥下反射を誘発!
- 方法:
- 歯磨き
- うがい
- 舌ブラシ
- 保湿剤の塗布
「口腔ケアって、リハビリなの?」
そうなんです!口腔ケアは、摂食嚥下リハビリテーションの基本中の基本です。
- 目的:
- 呼吸機能を改善する → 誤嚥を防ぐ!
- 咳嗽力を高める → むせた時に、しっかり咳ができるように!
- 方法:
- 腹式呼吸
- 深呼吸
- 咳の練習
- ブローイング(息を強く吐き出す練習)
「呼吸も、嚥下に関係あるの?」
はい、とても大切です。呼吸と嚥下は、密接に関係しています。
- 目的:
- 声帯の閉鎖を促す → 誤嚥を防ぐ!
- 嚥下に関わる筋肉を鍛える
- 方法:
- 発声練習(「あー」「いー」「うー」など)
- 構音練習(「パ」「タ」「カ」「ラ」など)
- 早口言葉
「発声練習も、リハビリになるんだ!」
声帯は、嚥下の際に気管の入り口を閉じる、重要な役割を担っています。
- 目的:
- 嚥下に関わる筋肉を鍛える
- 嚥下反射を促す
- 方法:
- 首や肩のストレッチ
- 嚥下おでこ体操
- 舌骨上筋群のトレーニング
- シャキアエクササイズ
「嚥下体操って、どんな体操?」
嚥下に関わる筋肉を鍛えるための、様々な体操があります。
- 目的:
- 舌の筋力を強化する → 食べ物を送り込む力をつける!
- 舌の可動域を広げる → 食べ物を操作しやすくする!
- 方法:
- 舌を上下左右に動かす
- 舌で口唇を舐める
- 舌で頬を押す
- 舌を丸める
- 舌を尖らせる
「舌の運動って、地味だけど…」
地味ですが、とても重要です!舌は、食べ物を咀嚼し、飲み込む上で、中心的な役割を担っています。
- 目的:
- 嚥下しやすい姿勢を保つ → 誤嚥を防ぐ!
- 呼吸機能を改善する → 誤嚥を防ぐ!
- 方法:
- 頸部のストレッチ
- 体幹の回旋運動
- 体幹の屈曲・伸展運動
「首や体の運動も、嚥下に関係あるの?」
はい。良い姿勢は、スムーズな嚥下を促します。
姿勢調整
- 目的:
- 誤嚥を防ぐ
- 嚥下しやすくする
- 方法:
- 適切な姿勢で食事を摂る → 椅子に深く腰掛け、足底を床につける
- ベッド上でのギャッジアップ → 上半身を起こす
- 車椅子での座位保持 → 体幹を安定させる
「姿勢って、そんなに大事?」
とても大事です!姿勢が悪いと、食べ物が気管に入りやすくなります。
環境調整
- 目的:
- 誤嚥を防ぐ
- 食事に集中できる環境を作る
- 方法:
- 静かで落ち着いた環境で食事を摂る → 気が散らないように
- 照明を明るくする → 食べ物が見やすいように
- テレビやラジオを消す → 食事に集中できるように
「環境も、嚥下に関係あるの?」
はい。周囲の環境は、嚥下に大きな影響を与えます。
直接訓練
直接訓練は、実際に食物を使って行う訓練です。
「いよいよ、実践練習だ!」
直接訓練は、間接訓練で基礎的な機能を高めた後に行います。
食形態の調整
- 目的:
- 患者さんの嚥下機能に合わせて、安全に食べられる食事を提供する
- 方法:
- ゼリー食: 均質で、まとまりやすく、飲み込みやすい → 最も安全な食形態
- ミキサー食: 食材をミキサーにかけて、ペースト状にしたもの → 咀嚼が難しい場合に
- 刻み食: 食材を細かく刻んだもの → ある程度噛むことができる場合に
- ソフト食: 柔らかく調理したもの → 噛む力が弱くなってきた場合に
- 普通食: 通常の食事 → 嚥下機能が回復してきたら
- とろみ剤を使用して、嚥下しやすくする → 液体は誤嚥しやすいため
「食形態って、色々あるんだね!」
そうなんです。患者さんの状態に合わせて、適切な食形態を選ぶことが大切です。
一口量の調整
- 目的:
- 誤嚥を防ぐ
- 安全に嚥下できる量を把握する
- 方法:
- 患者さんの嚥下機能に合わせて、一口量を調整する → 最初は少量から
- 少量ずつ、ゆっくりと食べてもらう → 焦らず、ゆっくりと
「一口量も、大事なんだね!」
はい。多すぎると、むせや誤嚥の原因になります。
嚥下方法の指導
様々な嚥下方法を指導し、患者さんに合った方法を見つけます。
- 方法:
- 食べ物を口に入れる前に、深呼吸をする
- 息を止めて、嚥下する
- 目的:
- 嚥下反射を誘発する
- 誤嚥を防ぐ
- 方法:
- 1回の嚥下で飲み込めない場合は、複数回に分けて嚥下する
- 目的:
- 咽頭残留を防ぐ
- 方法:
- 意識的に、強く嚥下する
- 目的:
- 嚥下に関わる筋肉を鍛える
- 咽頭残留を減らす
- 方法:
- 息を止めて、嚥下する
- 目的:
- 誤嚥を防ぐ
- 方法:
- 固体と液体を交互に嚥下する
- 目的:
- 咽頭残留を減らす
- 頸部回旋嚥下: 嚥下時に、頭を左右どちらかに回旋させる
- 頸部前屈嚥下: 嚥下時に、顎を引く
…など、様々な嚥下方法があります。
「色々な方法があるんだね!どれがいいの?」
患者さんの状態や、嚥下障害の原因によって、適切な方法は異なります。
代償方法の指導
嚥下機能が回復しない場合でも、安全に食事を摂るための方法を指導します。
- 頸部前屈位: 顎を引いた姿勢 → 気道が狭くなり、誤嚥しにくい
- 側臥位: 横向きに寝た姿勢 → 重力で食べ物が食道に流れやすくなる
…など、嚥下しやすい姿勢を指導します。
- スプーン: 浅いスプーン、小さいスプーンなど
- 箸: 短い箸、滑り止め付きの箸など
- コップ: 飲み口が広いコップ、とろみ付き飲料用のコップなど
- ストロー: 太いストロー、曲がるストローなど
…など、患者さんに合った食具を選びます。
- 静かで落ち着いた環境で食事を摂る → 気が散らないように
- 食事に集中できる環境を作る → テレビやラジオを消す
…など、環境を整えることも大切です。
症例別のリハビリテーション
ここでは、代表的な疾患に対する、摂食嚥下リハビリテーションのポイントを解説します。
脳卒中後遺症
- 麻痺側への注意喚起: 麻痺側の感覚が低下している場合があるので、食べ物を麻痺側に置かない、声かけをするなど、注意を促す → 「右側に食べ物がありますよ」など
- 口腔ケア: 麻痺側の口腔内に食べ物が残りやすいので、丁寧に口腔ケアを行う → 歯ブラシだけでなく、スポンジブラシや舌ブラシも活用
- 姿勢調整: 麻痺側を支える、体幹を安定させるなど、適切な姿勢を保持する → クッションや枕などを利用
- 食形態の調整: 嚥下機能に合わせて、適切な食形態を選択する → 最初はゼリー食から
- 嚥下訓練: 間接訓練(口腔ケア、呼吸訓練、発声訓練、嚥下体操、舌の運動など)と直接訓練(食形態の調整、一口量の調整、嚥下方法の指導など)を組み合わせて、嚥下機能を改善する → 患者さんの状態に合わせて、段階的に進める
- 具体的な訓練例:
- 間接訓練:
- アイスマッサージ:冷たい刺激で嚥下反射を誘発
- 舌抵抗訓練:舌の筋力強化
- 直接訓練:
- 少量のとろみ付き飲料から開始
- 頸部前屈位での嚥下練習
- 間接訓練:
- 具体的な訓練例:
パーキンソン病
- 姿勢調整: 前傾姿勢になりやすいので、体幹を伸展させる → 背もたれのある椅子に深く腰掛ける、クッションなどを利用する
- 嚥下体操: 首や肩のストレッチ、嚥下に関わる筋肉のトレーニングを行う → 嚥下前にリズミカルな運動を行うと効果的な場合も
- 食形態の調整: まとまりやすい、滑らかな食形態を選択する → ゼリー、ムース、とろみ食など
- 一口量を調整: 少量ずつ、ゆっくりと食べてもらう → 焦らず、自分のペースで
- 服薬のタイミング: 薬の効果が出ている時間帯(オン時)に食事を摂る → 薬の効果で嚥下機能が改善している間に食事をする
- 具体的な工夫:
- 食事の前に、リズミカルな音楽に合わせて体を動かす
- 嚥下しやすいように、食材を細かく刻んだり、柔らかく煮込んだりする
- 食事中に、声かけをして、ゆっくり食べるように促す
- 具体的な工夫:
認知症
- 環境調整: 静かで落ち着いた環境で食事を摂る → テレビやラジオを消す、周囲の音を遮断する
- 声かけ: 優しく、ゆっくりと、分かりやすく声かけをする → 「お口を開けてください」「ゆっくり飲み込んでください」など
- 食事介助: 必要に応じて、食事介助を行う → 患者さんのペースに合わせて、無理強いしない
- 食形態の調整: 誤嚥しにくい、安全な食形態を選択する → ゼリー、ミキサー食、とろみ食など
- 嗜好の尊重: 患者さんの好きな食べ物を提供する → 食べる意欲を引き出す
- 具体的な工夫:
- 食事の時間を決まった時間にする → 生活リズムを整える
- 食事の前に、好きな音楽を聴いたり、昔の写真を見たりする → リラックス効果、回想効果
- 彩りの良い食器を使ったり、盛り付けを工夫したりする → 食欲を刺激する
- 介助が必要な場合は、患者さんのペースに合わせて、ゆっくりと行う
- 具体的な工夫:
まとめ:摂食嚥下リハビリテーションで、患者さんの「食べる」を支えよう!
摂食嚥下障害は、患者さんのQOLを大きく低下させる問題です。
言語聴覚士は、専門知識と技術を活かして、患者さんの「食べる」を支え、QOLの向上に貢献できます。
「患者さんが、安全に、おいしく、楽しく食事ができるように…」
その想いを胸に、日々の臨床に取り組みましょう!
「摂食嚥下リハビリテーションのスキルをもっと高めたい!」
そう思っているあなた、ぜひ積極的に研修会や勉強会に参加したり、書籍や論文を読んだりして、知識や技術を深めてください。
そして…
「もっと専門性を活かせる職場で働きたい!」
「スキルアップできる環境で働きたい!」
そう思った時は、PTOTSTワーカーのような転職支援サービスを利用してみるのも、一つの方法です。あなたの希望に合った職場探しを、専門のアドバイザーがサポートしてくれるかもしれません。
言語聴覚士の皆さん、一緒に頑張りましょう!
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