はじめに:摂食嚥下障害は、言語聴覚士の腕の見せ所!
「うまく飲み込めない…」
「むせてしまう…」
「食事が楽しくない…」
摂食嚥下障害は、患者さんのQOL(生活の質)を大きく低下させる問題です。
言語聴覚士の皆さん、こんにちは!
摂食嚥下障害は、言語聴覚士の専門性が最も活かせる分野の一つです。
なぜ言語聴覚士が摂食嚥下に関わるのか?
言語聴覚士は、
- 話す
- 聞く
- 食べる
…といった、コミュニケーションと、食べる機能の専門家です。
摂食嚥下は、「食べる」機能の中でも、特に複雑なメカニズムを持っています。
言語聴覚士は、解剖学、生理学、神経学などの専門知識を活かして、摂食嚥下障害の原因を特定し、適切な評価と訓練を行います。
摂食嚥下障害の現状と課題
高齢化が進む日本において、摂食嚥下障害の患者数は増加傾向にあります。
- 誤嚥性肺炎のリスクが高まる
- 低栄養になる
- 脱水症状になる
- 食べる楽しみを失う
…など、摂食嚥下障害は、様々な問題を引き起こします。
言語聴覚士の役割は、ますます重要になっています。
この記事で、あなたのスキルアップを応援!
この記事では、摂食嚥下リハビリテーションに関わる言語聴覚士の皆さんに、
- 摂食嚥下の基礎知識
- 評価方法
- 訓練方法
- 症例別のリハビリテーション
…など、詳しく解説していきます!
「摂食嚥下リハビリテーションのスキルアップをしたい!」
そう思っているあなた、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
摂食嚥下とは?5期モデルで基礎知識をおさらい
「摂食嚥下って、言葉は知ってるけど、詳しくは知らない…」
そんなあなたのために、まずは、摂食嚥下の基礎知識をおさらいしましょう。
摂食嚥下の5期モデル
摂食嚥下は、以下の5つの段階(5期モデル)に分けられます。
- 先行期(認知期)
- 準備期(咀嚼期)
- 口腔期(送り込み期)
- 咽頭期
- 食道期
先行期
食べ物を認識し、口に運ぶまでの段階です。
- 視覚、嗅覚、触覚などの感覚情報
- 食欲
- 意欲
…などが関与します。
準備期(咀嚼期)
食べ物を口の中で咀嚼し、飲み込みやすい形にする段階です。
- 歯
- 舌
- 頬
- 顎
…などの器官が協調して働きます。
口腔期(送り込み期)
咀嚼した食べ物を、舌を使って咽頭に送り込む段階です。
- 舌の運動
- 口唇の閉鎖
- 軟口蓋の挙上
…などが重要になります。
咽頭期
食べ物が咽頭を通過し、食道に送り込まれる段階です。
- 嚥下反射
- 喉頭挙上
- 喉頭蓋の反転
- 声門閉鎖
- 輪状咽頭筋の弛緩
…など、複雑なメカニズムが働きます。
食道期
食べ物が食道を通過し、胃に送り込まれる段階です。
- 食道の蠕動運動
…によって、食べ物が運ばれます。
各期の役割と、関わる器官
期 | 役割 | 関わる器官 |
先行期 | 食べ物を認識し、口に運ぶ | 目、鼻、口、手、脳(視覚野、嗅覚野、運動野、感覚野など) |
準備期 | 食べ物を咀嚼し、飲み込みやすい形にする | 歯、舌、頬、顎、唾液腺、脳(運動野、感覚野など) |
口腔期 | 咀嚼した食べ物を、舌を使って咽頭に送り込む | 舌、口唇、軟口蓋、硬口蓋、頬、脳(運動野、感覚野、脳幹) |
咽頭期 | 食べ物が咽頭を通過し、食道に送り込まれる | 咽頭、喉頭、喉頭蓋、声帯、輪状咽頭筋、脳(脳幹:嚥下中枢) |
食道期 | 食べ物が食道を通過し、胃に送り込まれる | 食道、胃、脳(自律神経) |
嚥下に関わる神経
嚥下には、多くの脳神経が関与しています。
- 三叉神経(Ⅴ): 咀嚼筋の運動、顔面の感覚
- 顔面神経(Ⅶ): 表情筋の運動、舌前2/3の味覚
- 舌咽神経(Ⅸ): 舌後1/3の味覚・感覚、咽頭の運動・感覚、唾液分泌
- 迷走神経(Ⅹ): 咽頭・喉頭・食道の運動・感覚、内臓の運動・感覚
- 舌下神経(Ⅻ): 舌の運動
摂食嚥下障害の原因
摂食嚥下障害は、様々な原因で起こります。
神経・筋疾患
脳卒中
脳梗塞や脳出血など、脳血管障害によって、嚥下に関わる神経や筋肉が麻痺することがあります。
パーキンソン病
進行性の神経変性疾患で、嚥下に関わる筋肉の動きが悪くなることがあります。
筋萎縮性側索硬化症(ALS)
進行性の神経変性疾患で、嚥下に関わる筋肉が萎縮することがあります。
その他
- 多発性硬化症
- ギラン・バレー症候群
- 重症筋無力症
…など、様々な神経・筋疾患が、摂食嚥下障害の原因となります。
器質的疾患
口腔がん
舌がん、頬粘膜がんなど、口腔がんによって、舌や頬の動きが悪くなることがあります。
咽頭がん
咽頭がんによって、咽頭の通過障害が起こることがあります。
食道がん
食道がんによって、食道の通過障害が起こることがあります。
その他
- 口内炎
- 舌炎
- 咽頭炎
- 食道炎
…など、様々な炎症性疾患が、摂食嚥下障害の原因となります。
加齢
加齢に伴い、
- 筋力低下
- 感覚低下
- 唾液分泌量の減少
…などが起こり、摂食嚥下機能が低下することがあります。
薬剤性
薬の副作用によって、
- 口渇
- 筋力低下
- 意識レベルの低下
…などが起こり、摂食嚥下障害が起こることがあります。
その他
- 認知症
- 精神疾患
- 発達障害
…など、様々な要因が、摂食嚥下障害の原因となります。
摂食嚥下障害の評価方法
摂食嚥下障害の評価は、
- 原因を特定する
- 障害の程度を把握する
- リハビリテーションの計画を立てる
- 効果を判定する
…上で、非常に重要です。
問診
まずは、患者さんやご家族から、詳しく話を聞きます。
- いつから症状があるか?
- どんな時に症状が出るか?
- どんな食べ物が飲み込みにくいか?
- むせやすいか?
- 体重減少はあるか?
- 既往歴、服薬歴
…など、様々な情報を収集します。
スクリーニング検査
スクリーニング検査は、簡便に行える検査で、摂食嚥下障害の疑いがあるかどうかを判断します。
反復唾液嚥下テスト(RSST)
30秒間に何回唾液を飲み込めるかを測定します。
- 3回以上:正常
- 2回以下:嚥下障害の疑い
改訂水飲みテスト(MWST)
3mlの冷水を飲み込んでもらい、嚥下の状態を観察します。
- むせの有無
- 呼吸状態の変化
- 嚥下後の嗄声
…などを評価します。
フードテスト
実際に食べ物を食べてもらい、嚥下の状態を観察します。
- 様々な食形態(ゼリー、お粥、刻み食など)を試す
- むせの有無
- 咀嚼の状態
- 口腔内残留
…などを評価します。
嚥下造影検査(VF)
X線透視下で、造影剤を混ぜた食べ物を飲み込んでもらい、嚥下の様子を観察する検査です。
- 嚥下のメカニズムを詳細に評価できる
- 誤嚥の有無や程度を評価できる
- リハビリテーションの計画立案に役立つ
嚥下内視鏡検査(VE)
鼻から内視鏡を挿入し、嚥下の様子を観察する検査です。
- 咽頭や喉頭の状態を直接観察できる
- 唾液や食物の貯留、残留を評価できる
- VFよりも簡便に行える
その他の評価方法
頸部聴診法
聴診器を使って、嚥下音を聴取し、嚥下の状態を評価します。
質問紙
- EAT-10
- SWAL-QOL
…など、摂食嚥下機能に関する質問紙を用いて、患者さんの自覚症状を評価します。
摂食嚥下リハビリテーションの訓練方法
摂食嚥下リハビリテーションの訓練方法は、
- 間接訓練: 食物を使わない訓練
- 直接訓練: 食物を使う訓練
…の2つに分けられます。
間接訓練
基礎訓練
- 口腔内の清潔を保つ
- 口腔乾燥を防ぐ
- 口腔感覚を刺激する
- 腹式呼吸
- 深呼吸
- 咳の練習
- 発声練習
- 構音練習
- 首や肩のストレッチ
- 嚥下に関わる筋肉のトレーニング
- 舌を上下左右に動かす
- 舌で口唇を舐める
- 舌で頬を押す
- 頸部のストレッチ
- 体幹の回旋運動
- 体幹の屈曲・伸展運動
姿勢調整
- 適切な姿勢で食事を摂る
- ベッド上でのギャッジアップ
- 車椅子での座位保持
環境調整
- 静かで落ち着いた環境で食事を摂る
- 照明を明るくする
- テレビやラジオを消す
直接訓練
食形態の調整
- 患者さんの嚥下機能に合わせて、食事の形態を調整する
- ゼリー食: 均質で、まとまりやすく、飲み込みやすい
- ミキサー食: 食材をミキサーにかけて、ペースト状にしたもの
- 刻み食: 食材を細かく刻んだもの
- ソフト食: 柔らかく調理したもの
- 普通食: 通常の食事
- とろみ剤を使用して、嚥下しやすくする
一口量の調整
- 患者さんの嚥下機能に合わせて、一口量を調整する
- 少量ずつ、ゆっくりと食べてもらう
嚥下方法の指導
- 食べ物を口に入れる前に、深呼吸をする
- 息を止めて、嚥下する
- 1回の嚥下で飲み込めない場合は、複数回に分けて嚥下する
- 意識的に、強く嚥下する
- 息を止めて、嚥下する
- 誤嚥を防ぐ効果がある
- 固体と液体を交互に嚥下する
- 頸部回旋嚥下
- 頸部前屈嚥下
…など、様々な嚥下方法がある
代償方法の指導
- 頸部前屈位
- 側臥位
…など、嚥下しやすい姿勢を指導する
- スプーン
- 箸
- コップ
- ストロー
…など、患者さんに合った食具を選ぶ
- 静かで落ち着いた環境で食事を摂る
- 食事に集中できる環境を作る
症例別のリハビリテーション
ここでは、代表的な疾患に対する、摂食嚥下リハビリテーションのポイントを解説します。
脳卒中後遺症
- 麻痺側への注意喚起: 麻痺側の感覚が低下している場合があるので、食べ物を麻痺側に置かない、声かけをするなど、注意を促す
- 口腔ケア: 麻痺側の口腔内に食べ物が残りやすいので、丁寧に口腔ケアを行う
- 姿勢調整: 麻痺側を支える、体幹を安定させるなど、適切な姿勢を保持する
- 食形態の調整: 嚥下機能に合わせて、適切な食形態を選択する
- 嚥下訓練: 間接訓練、直接訓練を組み合わせて、嚥下機能を改善する
パーキンソン病
- 姿勢調整: 前傾姿勢になりやすいので、体幹を伸展させる
- 嚥下体操: 首や肩のストレッチ、嚥下に関わる筋肉のトレーニングを行う
- 食形態の調整: まとまりやすい、滑らかな食形態を選択する
- 一口量を調整: 少量ずつ、ゆっくりと食べてもらう
- 服薬のタイミング: 薬の効果が出ている時間帯に食事を摂る
認知症
- 環境調整: 静かで落ち着いた環境で食事を摂る
- 声かけ: 優しく、ゆっくりと、分かりやすく声かけをする
- 食事介助: 必要に応じて、食事介助を行う
- 食形態の調整: 誤嚥しにくい、安全な食形態を選択する
- 嗜好の尊重: 患者さんの好きな食べ物を提供する
まとめ:摂食嚥下リハビリテーションで、患者さんの「食べる」を支えよう!
摂食嚥下障害は、患者さんのQOLを大きく低下させる問題です。
言語聴覚士は、専門知識と技術を活かして、患者さんの「食べる」を支え、QOLの向上に貢献できます。
「摂食嚥下リハビリテーションのスキルをもっと高めたい!」
そう思っているあなた、ぜひ積極的に研修会や勉強会に参加したり、書籍や論文を読んだりして、知識や技術を深めてください。
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あなたの「可能性」は、無限大です!
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